コードバンのランドセルはやっぱりいいんでしょうか?
コードバンは、馬のお尻の部分の革のこと。丈夫で、独特の風合いを持っているので、昔から靴や財布、ベルトなど、幅広い製品に使われており、根強いファンがいます。もちろん、ランドセルにも使われています。
革の表面にあるツルツルの面と裏側の柔らかい繊維を削りとり、中間の緻密な層を使う、やや特殊な革です。緻密な組織だけに、通常の牛革よりも、若干重くなります。この緻密な繊維の層ですが、野生の馬が持っている特徴らしく、原材料にはヨーロッパなどで飼育されている農耕馬が使われています。
コードバンの革を作るなめし業者も大変少なく、日本の2社(新喜皮革と宮内産業)、アメリカの1社(ホーウィン社)が流通量のほとんどを占めているそうです。つまり、革としては希少な部類に入ります。
カブセ(フラップ)に兵庫県の新喜皮革が製造した
高級コードバンを使ったナガエかばんのランドセル
生産量が限られた希少な革のため、ランドセルに使うとかなり高価になります。10万円以上は覚悟しておいたほうがいいでしょう。値段の高さからランドセル選びでは候補にも入れないというケースが多いでしょうが、高品質なコードバンを使ったランドセルは、なぜか凜としたたたずまいがあります。耐久性も申し分なく、魅力たっぷりです。これは写真でみてもよくわからないのですが、実物を他の製品と並べて比べると、やはり独特な高級感があります。おじいちゃん、おばあちゃんが孫に買ってあげたくなる気品と風合いをもっているのです。
ランドセル工房やランドセルを販売する販売店、特に昔からその地域で有名な老舗鞄店でも、ランドセル購入を考えて製品を見に来てくれたお客さんに対しては、予算と耐久性を考えて「クラリーノがいいのではないか」とアドバイスするところがあります。しかし、そういった鞄店でも、お店の主人の子供はコードバン製のランドセルを使わせていたりすることも。「鞄店の子供が安いランドセルを使っていたらみっともない」ということなのでしょうが、コードバン製ランドセルは、ひとつのステータスになっているのは確かでしょう。
ただし、この「良さ」は、革製品好きの大人が見て感じられること。ランドセル選びをするときに、お店で小学校入学直前の子供に見せても、まずわかりません。革の高級感を生かした本物志向のランドセル故に、飾りやアクセサリーも極力少なめ。ぱっと見には地味な製品が多いのです。また重量も、クラリーノより重い牛革と比べても、100g~200gは重くなります。
革の品質としてコードバンが良いことは確かですから、予算に余裕があり、お店で実際に背負ってみて、子供が背負いやすいと感じるのであれば、非常に良い選択となるでしょう。しかし、子供が背負いにくいと感じたならば、お金を出す大人だけが満足する、ただの高価なランドセルに成り下がってしまいます。
コードバン製ランドセルを購入するかどうかの選び方のポイントは、子供が背負いやすいかどうか、子供が気に入るかどうかです。素材の善し悪しは、その後で検討する。これが、選び方の王道でしょう。