どれくらいの価格のランドセルを買えば安心?
■ランドセル作りは手間がかかる
ランドセルは基本スタイルがほぼ決まった製品であり、皮革や金具の供給メーカーも決まっています。製造方法も確立されています。しかし、ランドセルは数ある鞄の中でもパーツ数が200前後と多く、それだけに製造工程も増えます。裁断、のり付け、縫製、鋲打ちなどの工程を、ひたすら繰り返すのです。要するに製造に手間がかかる。おそらく、たいていのブランド物の超高級バッグよりも、製造に人手がかかっていると思います。
これをコストダウンをしようとしたら、皮革や金具などを低コストのものにする、必要最低限の機能だけをとりいれ、飾り付けなどの工数を減らすといったような方法しかとれないはず。どう頑張っても、1万円以下で作ることなど、無理でしょう。したがって、アウトレットなどを除き、その年の新製品を購入するのであれば、ある程度の価格帯のものを選んだほうが無難です。
■年々あがるランドセルの価格
ランドセルの売れ筋価格は、この記事を最初に書いたとき(2019年)は4万円台~6万円台でしたが、今年2022年(2023年入学児童用モデル)は、5万円~7万円のランドセルが主流になりました。2019年の段階では3万円台のランドセルもありましたが、現在では、アウトレット商品など一部の例外を除くと4万円台がランドセル価格の下限とみていいでしょう。
この低格帯のランドセルの需要はある程度あるのですが、実は生産量が少なく、選択の幅があまりないのが難点です。ランドセルは子供の小学校入学という一大イベントのために用意されるためか、年々、少しずつ高級化が進んでいるため、メーカーも、どうしても売れ筋価格帯の製品に力を注がざるを得ないからです。ファッションブランドの参入も続いており、それもランドセルの高価格化に拍車をかけているようです。
ランドセルは、ヒットしたからといって、その年の小学校入学児童の数以上には売れない商品です。メーカーとしても利益を上げないといけませんから、低価格商品が少なくなり、高付加価値商品が主流になるのは、やむを得ない部分もあります。ランドセルの値段を1万円台や2万円台に下げろと言われても、日本国内で今と品質のランドセルを生産する限り、まず無理でしょう。
ちなみに、ランドセルナビでも5万円以下のランドセルをご紹介しています。いずれもシンプルな作りで、基本的な作りは高級モデルと同等の高品質モデル。このクラスのランドセルならば、6年間、安心して使うことができるでしょう。
■19800円のランドセルには注意を
一部のネットショップなどで19800円といった激安ランドセルも販売されており、ユーザー・レビューの件数をみる限り、購入者もかなりいるようです。ランドセルの高価格化によって、需要を掘り起こされているのかもしれません。ただ、こうした「激安ランドセル」は、たいていは外国産で、使用している素材も合成皮革です。
クラリーノんどの「人工皮革」と「合成皮革」は混同されがちですが、実は似て非なるもの。本革の構造を人工的に再現した「人工皮革」に対し、「合成皮革」は布にウレタンなどの樹脂を貼り付けたもので、系辺変化が早いのが何点です。安い革風のバッグやスマホケースなどにも幅広く使われていて、何年かするとボロボロに表面が割れてきたという経験をお持ちの方も多いことでしょう。
しかも外国製の激安ランドセルは、背カンなどのプラスチックの品質にも不安があります。ベルトの作りなども、本格的な日本製ランドセルに見劣りします。販売業者は保障(中には7年保障もある)をつけていますから、壊れれば新品と交換ということになりそうですが、業者がいつ撤退するかわからないという不安もあります。こうしたことを考えた上で、「最悪、買い換えればいい」と思い切れる人でない限り、外国製の激安ランドセルは避けたほうがいいと思います。
■安く買うならアウトレット
このような事情を考えると、現時点(2022年)では4万を最低価格の目安にしたほうがいいと思います。ランドセルの専業メーカー製で、ランドセル工業会の「ランドセル認定証」がついていれば、6年間の耐久性と必要最低限の機能、さらには修理が保証されます。
それでも予算的につらいという場合は、早期割引きやアウトレットを利用する方法があります。特にランドセルのメーカーやブランド、色などにこだわりがないのであれば、夏以降にいくつかのメーカー(大手が多い)がおこなっているアウトレット商品を購入するといいと思います。
商品数や色、デザインが限られていたり、ときにはランドセルメーカーの保証無し(たいてい2年以上前のモデル)だったりということもありますが、値段は3割引きから6割引きになったりするのが当たり前なので、かなりお得。年によってアウトレットになるランドセルはかなり変化するので、夏以降、ネットでメーカーのアウトレット情報をチェックしておくといいでしょう。