【親の心の準備4】忙しいママが陥りやすいワナ
入学準備は効率より「心優先」で
小学一年生のママの7割以上が仕事を持っています。仕事の形態はフルタイム、パートタイム、在宅とさまざまですが、予定通りにいかない子育てと効率が求められる仕事との両立は大変です。
それでもわが子には、最高のかたちで入学式を迎えさせてやりたい。――そう思うママ・パパは、忙しさを言い訳にしないで最大限のことをしようします。やるべきことをリストアップして効率的にこなしていこうとします。仕事ができるママ・パパほどこの傾向にありますが、実は、これ、子育てに関する限りいい選択とは言えないようです。
しっかり者のママ・パパは、わが子の入学に必要なコトとモノを、「やることメモ(TO DO LIST)」やスケジュール表を活用して多忙な毎日の中にに組み込んでいきます。でも、入学準備に限らず、子どもに関することは、ほとんどの場合、予定どおりには進みませんよね。
相手が子どもだからということもありますが、一番の原因は、仕事とは目標・目的が違うからです。そして、そのことをママ・パパも心の奥底ではわかっているからです。予定通りに効率的に進んでいるときのほうが心配です。なぜなら、子どもがおいてけぼりにされているかもしれないからです。
“結果がすべて“という言葉があります。確かにプロの世界・仕事の世界では、多くの場合、“結果がすべて“です。具体的な目標に到達することが求められます。そして、できるだけ短時間に効率よく仕事をこなしていく人が、「できる人」と言われます。仕事には、はっきり数値にできる具体的な目標があるからです。
でも子どもの成長に、そんな具体的な目標があるでしょうか? テストでいい点とること? 一番になること? いえいえ、そんな目標に専念したら、とんでもないことになっちゃいます。いちばん大事な目標は、今だけでなく将来的な幸せ、本人が満足できる生き方。今は、そのための能力を身につけることです。こればっかりは数値にできません。“結果がすべて”でもありません。
将来的な幸せ・目標に向けて、今を犠牲にしないで何ができるかです。そう考えると、わが子の成長をサポートする親の営みは、“結果よりプロセスが大事”。こう考えておいたほうがいいのではないでしょうか。
親子で入学準備を楽しんでください
ちょっと思い出してみてください。小さい頃、親や周囲の大人に何かしてもらった思い出の中で心残っているのは、してもらった結果ではなく、どうやってしてくれたか、そのときの親の言葉や面白い行動のほうではないでしょうか。わざわざ1日かけて遠い専門店に行って買ってくれたとか、一緒に行ったけどパパが忘れ物をしてきたとか…。
入学準備も同じです。子どもと一緒に、入学式までに準備するという行為そのものが思い出につながり、子どもの心に良き思い出として残ります。ランドセルなら、クラスで一番高価なランドセルを買ってもらったということより、いろんな店を見に行って途中親子げんかもしたけど、最終的には親子とも納得するものが買えたというふうに。
いつも忙しい忙しいといってるママが、自分が小学校で使うものを難しいとブツブツを言いながらも手作りしてくれた、自分が気に入らないといったら何度も探しに行ってくれた、小学校になったら○○ができないといけないからね、と優しく教えてくれた…そんな思い出こそが、いちばん大事な入学準備であり、心に残るものなのです。小学校入学という自立の第一歩を祝う親子の協同作業なのです。
仕事に育児に家事に入学準備にと忙しいママ・パパのみなさん。やることメモもお買い物リストもスケジュール策定もやっていただいてかまいませんが、まあ、だいたいが予定通りには進まないと覚悟してください。逆に予定通りに進んでいるとしたら、ちょっと強引になっているかもと自分の行動をふりかえってみてください。そして視野狭窄にならずに、結果だけを求めずに、じっくりとプロセスを踏んでいるかなと、ときどき確認してください。
入学準備に満点も零点ありません。わが家スタイルで準備をして、思わぬアクシデントが起きたとしても、最終的には入学式前日までなんとかできる程度のものです。そんなことない!と思う方は、その思いが見栄や虚栄心から発していないかどうか、よくチェックしてくださいね。
2024/10/06