【親の心の準備6】友達ができるか不安なら「笑顔で挨拶作戦」
挨拶で友達ができやすい環境作り
「小学校に入って、友達ができるか不安」というママは多いようです。「内気でおとなしい子だから」「保育園(幼稚園)のお友達がひとりもいないから」などの理由で、深刻に悩んでおられる方もいます。子どもはひとりひとり性格も環境も違うので、「こうすれば確実に友達ができる」という方法は、残念ながらありません。
でも友達は意識的に作るものではなく、いつのまにかできているのが自然なかたちです。実際に多くの子は、親の心配をよそに遅かれ早かれ仲の良い友達ができて一緒に遊ぶようになります。それに、すぐにできなくてもあせる必要はありません。また友達の数が多い子もいれば少ない子もいます。それはその子の個性であり、多いほうがいいわけではありません。
うちの子は友達作りが下手だから、親の私が見繕ってあげなければと考え、「あの子と友達になりなさい」とすすめたり、友達候補の子に「うちの子と友達になってあげて」と頼んだりといったことはやめましょう。小学校入学で自立への第一歩を踏み出した子を、親の庇護のもとに引き戻すだけだからです。
では、親にできることは何でしょうか? それは友達ができやすい環境作りです。
その第一歩として、ぜひやってみていただきたいのが「笑顔で挨拶作戦」です。まずは、ママ自身がいろんな人に気さくに挨拶をするように心がけます。無言でちょこっと頭を下げるだけでなく声を出して挨拶します。そしてその姿を、毎日の生活の中でお子さまに見せてあげるのです。
近所で知り合いに出会ったとき、お店で買い物をするとき、会合で初めての人と知り合ったとき、「こんにちは」「いいお天気ですね」「はじめまして」などとハキハキと挨拶してください。そのとき大事なのは、マナーだから挨拶するのではなく、ごく自然に挨拶するということ。そしてもうひとつ覚えていてほしいのは、たとえ相手が挨拶を返してくれなくても、気にせずに挨拶をするということです。
親が気軽に挨拶をしていれば、子どももそれを見て挨拶にストレスを感じなくなります。そうすれば、親がいない時でも挨拶ができるようになり、友達ができやすい環境が整います。相手が大人でも子どもでも、人は挨拶をすることで「知っている人」を増やせます。友達の前段階の「知っている人」が増えていけば、その中から気の合う友達を見つけるのもぐっと簡単になります。
「こんにちは」と挨拶するとき、人は笑顔になります。挨拶の回数が多いと笑顔になる回数も増えます。これも挨拶のメリットです。
いろんな子に会わせてあげよう
もうひとつの親ができる「友達ができやすい環境作り」は、いろんな子に出会うチャンスをたくさん作ってあげることです。誕生日会や何かテーマを決めたパーティを開催したり、地域の集いやお祭り、スポーツクラブやお稽古など、いろんなところに出かけて行って、いろんな子に出会う機会を増やしてあげましょう。
それから、とても大切なことを申しあげておきます。小学校入学後に、友だちができていないみたい、少ないみたい…と感じたとしても、それを深刻な問題だと決めつけないでください。子どもにも一人ひとり個性があって、友達がたくさんいる子もいれば、少ない子もいます。大勢と遊ぶのが好きな子もいれば、一人遊びや本を読むほうが好きな子もいます。親の役割は見守ることです。
見守り続けて、どうも友達ができなくて寂しいと感じているらしいと思ったら、まずは、親子会話を増やしましょう。そして、友達ができやすい環境作り、つまり「笑顔で挨拶作戦」をゆっくり続けていって、出会いのチャンスを増やすことに専念してください。
挨拶でコミュニケーション能力が育つ
小学校に入学して、友達ができたり友達とけんかしたり、友達がいなくて寂しいと感じたり、友達がわずわらしいと感じたり…、そんないろんな気持ちを経験することで、心は成長していきます。
必ずしもいい気持ちだけでなく、マイナスの気持ちもいっぱい経験することが必要です。そうすることで初めて、その子ならではの友達の作り方や付き合い方を身につけていきます。これが、コミュニケーション能力を育てるということです。
そう、コミュニケーション能力を育てる最初の一歩は、“笑顔で挨拶”なのです。
まずは親が、笑顔で挨拶している姿を子どもに見せ、親子一緒に笑顔で挨拶することを習慣にしていきましょう。入学準備として、あまり言われていないことですが、令和の時代にはとても大切なことだと思います。
ちなみに、挨拶の効用については、アメリカの作家、デール・カーネギーほか、さまざまな人が語っています。こちらや、こちらのページを読んでみると参考になりますよ。
2024/10/14